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2017年5月13日 (土)

川戦:安城合戦編Ⅱ まえがき及び参考文献

 ここ数年になるのでしょうか、素人歴史趣味人にとってのネットワークで検索可能な歴史関連記事の充実ぶりは目を見張るものがあります。以前はWikiPediaで歴史事件を調べても検索のヒット率は低く、内容も非常に薄いものしか掲載されておりませんでしたが、現在においてはWikipedia記事もかなり細かい事象にまで及んでおります。もちろん、Wikipediaの利用については、裏取りを行うことが大原則なのですが、その他にも国立国会図書館のデジタルコレクションと国立公文書館のデジタルアーカイブが充実度を増したことが大きいです。これによって、歴史学者の論文が引用している一次史料と二次史料を直接確認することが出来ます。とは言え、旧かな遣いや変体仮名、崩し字の判読には相当てこずるものですが。そんな事情もあって以前は図書館が唯一の頼みの綱だった歴史の勉強の情報源もかなり充実するようになりました。歴史関連情報のオンライン化に尽力された方々の努力に感謝したいと思います。

 本編は、以前に拙ブログの「安城合戦編」で取り上げました北条氏康書状並びに2015年3月15日発行の『中京大学文学会論叢』第一号(2015~)に掲載された村岡幹生教授の論文「織田信秀岡崎攻落考証」(以下、本編においては「論文」と呼称統一します)について再検討するものです。具体的な進め方としては論文の各節において提起されている論点を抽出し、論点の根拠史料を調べて理解を深めると同時に反証史料の存在と別解の可能性を探ってゆくというスタイルをとってゆきます。もとより同論文がネットで公開されているとは言え、本編では著作権法上慣行として許されている引用の範囲内での言及にとどめますので、本編の読者は当該論文をあらかじめ読んでいることを前提とさせていただきます。論文へのアクセスについては、論文名と著者名で検索いただき、そこからJIRO(Japanese Institution Repositories Onlie)のサイトに入れば読むことが出来ます(2017年5月現在)。

 論文については以前拙稿にて感想を述べさせていただきましたが、その後で時間をかけて咀嚼する中で、学べたことはたくさんありました。未だに理解が進んでいない部分もない訳ではないのですが、改めて論文を公開の場に掲載いただいたことに感謝いたします。また、本編においては過去記事から現時点までの間に私自身の認識が変わっている部分もありますので、ご容赦ください。

 取り進め方としては、基本的に論文の論旨に沿った論点を拾ってゆくものの、途中色々余談や脱線を搦めながら進める予定です。とは言え、論文の検証を通して本編では何を示したいのかについては、ここで明確にしておきます。それは論文が菩提心院日覚書状の「岡崎ハ弾江かう参之分にて、からゝゝの命にて候」というフレーズから織田信秀の岡崎攻落を論証して見せたことの別解として、同じ日覚書状の「駿河衆敗軍」というフレーズから同書状が書かれた天文十六年に第一次小豆坂合戦が起こった可能性を検証してみる事、です。第一次小豆坂合戦は拙ブログの過去記事でまぼろしとしましたが、日覚書状の存在によってそのまぼろしが史実になるかもしれないという感触がないわけではないのですね。この件につきましては本編の結論部分で提起するつもりですが、よろしければ最後までお付き合いいただけましたら幸いです。

[論文「織田信秀岡崎攻落考証」の章立て]
 第1節:日覚書状の年代比定
 第2節:織田信秀の三河侵攻情報の信憑性
 第3節:織田信秀の岡崎攻落を伝える別文書
 第4節:北条氏康書状の史料批判
 第5節:北条氏康書状が述べる三河情勢の検討
 第6節:松平広忠降参情報の信憑性
 第7節:小豆坂の戦いにおける松平広忠の動向
 第8節:松平広忠の病死
 最終節:おわりに ―人質竹千代の真相を推理しつつ―

[参考資料]
〇織田信秀岡崎攻落考証 村岡幹生著 2015年3月15日 Japanese Institution Repositories Onlie掲載
〇三河松平一族 平野明夫著 新人物往来社刊
〇織田信長の系譜 織田信秀の生涯を追って 横山住雄著 教育出版文化協会刊
〇新編安城市史2 通史編 原始・古代・中世 安城市史編集委員会編集 安城市発行
〇新編安城市史5 資料編 古代・中世 安城市史編集委員会編集 安城市発行
〇愛知県史 資料編10 愛知県史編さん委員会編集 愛知県発行
〇愛知県史 資料編14 愛知県史編さん委員会編集 愛知県発行
〇戦国遺文 今川氏編 第二巻 東京堂出版刊
〇信長公記 太田牛一著、桑田忠親校注 新人物往来社刊
〇原本現代語訳 三河物語(上)大久保彦左衛門忠教著、小林賢章訳 教育社刊
〇内閣文庫所藏史籍叢刊 特刊第1-[1] 朝野旧聞ほう藁 汲古書院刊
〇古証文(和学講談所旧蔵本) 編者未詳 国立公文書館デジタルアーカイブ
〇古証文(旧蔵所不明本)   編者未詳 国立公文書館蔵書
〇古証文(大久保酉山旧蔵本) 編者未詳 国立公文書館蔵書
〇寛永諸家系図伝(献上本)太田資宗・林羅山編纂  国立公文書館デジタルアーカイブ
〇寛永諸家系図伝(草稿本)太田資宗・林羅山編纂  国立公文書館蔵書
〇寛政重修諸家譜 堀田正敦編 続群書類従完成会刊
〇難波戦記 万年頼方、二階堂行憲著 国会図書館デジタルコレクション
〇板倉・朽木・大久保家蔵書目録 影印 第4巻 酉山蔵書目録 函別編 朝倉治彦編 ゆにま書房
〇板倉・朽木・大久保家蔵書目録 影印 第5巻 酉山蔵書目録 分類編 朝倉治彦編 ゆにま書房
〇日蓮宗と戦国京都 河内将芳著 淡交社刊
〇増訂近世古文書【解読辞典】 林英夫監修 柏書房刊
〇信長と家康―清須同盟の実体 谷口克広著 学研新書
〇天下人の父・織田信秀 谷口克広著 祥伝社新書
〇常山紀談[本多忠豊・忠高戦死記事] Wikipedia[柳営秘鑑の項]に掲載
〇柳営秘鑑[本多忠高戦死記事] Wikipedia[柳営秘鑑の項]に掲載
〇風雲児たち みなもと太郎著 潮出版刊
〇国家鮟鱇(ブログ)[菩提心院日覚書状・北条氏康書状関連記事]

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